2017年9月29日金曜日

日本物理学会 秋季大会で発表 2017年9月23日


   空間と時間の測定の論理に関する考察

 

      東京第一合成㈱      小竹秀典

    Logical Consideration of Measurement of Space and Time

            Tokyo Dai-ichi Gosei Co., Ltd.    H. Kotake

 

過去2回の発表で、ニュートンの運動の法則における時間と空間の定義とその測定方法を論理学的な面から述べてきた。その考えは次の記述の同じである。

学習院大学 田崎晴明教授は自身のホームページで次のように記述している。

等速度であるためには(1)物体の位置が等間隔で増加するとき(2)各位置を通過する時刻も等間隔で増加する必要がある。但し(3)これは慣性の法則による帰結ではなく(2)古典物理学における仮説にすぎない。

時間については古代ギリシャのプラトン、アリストテレスから現代物理学の創設者のニュートン、アインシュタインまで多くの哲学者や科学者の記述がある。しかし時間とは何か、時間をどう測るかの記述はあっても時計の正当性の理論的記述はあまり体系的には論じられていないような気がする。ニュートンやアインシュタインの理論に関する過去の記述でも、はじめに空間と時間というものがあって、すぐにその絶対性や相対性の議論になる。しかしまず最初に、空間や時間をどう測るかが重要で、それはそれらの定義そのものになる。

測定とはある現象を標準となる現象に対応させ比較することであり、再現性が必要になる。距離は運動する物体が移動する長さであり、その測定に使用するものさしは物体の運動と直接的に関連づけられる。それに対し時間を測る時計は、物体の運動との関連がわかりにくい。原子スペクトルの周波数を利用した原子時計は現在最も正確とされている時計であるが、原子の挙動が運動現象と同じであると考えると運動現象と関連させることができる。水晶振動子は機械的な運動ではなく周期的な電気振動を利用している。これも電子を物体と考えてその運動現象を利用していると考えることができる。

歴史的に古い水時計、砂時計、日時計は物体の落下や天体の運動から物理的(力学的)現象を利用していることが容易に理解できる。振り子時計、ぜんまい時計も同様に理解できる。これに対しランプ時計や火時計(ろうそくの燃焼)は運動と直接的に結び付けることは困難である。

ある状態が次の状態に変化する。その間に時間の概念が導入されるのであるが、その根本は標準となる現象との対応であると考えられる。そして変化を表現する最も簡単な数学的表現は線型数学である。