「法則とは何か」をニュートンの運動の法則を例に挙げて論じています。
ニュートンの運動の法則の論理に関する研究2
東京第一合成㈱ 小竹秀典
Research
for Logic of Newton’s Law of Motion 2
Tokyo Dai-ichi Gosei Co., Ltd. H. Kotake
ニュートンの運動の法則の論理構成を歴史的な観点を考慮しながら見直している。その上で時間と空間の定義とその測定方法を論理学的に明確にしたい。
ニュートンの法則では、絶対空間と絶対時間の存在が前提とされている。この場合、時間と空間をどうやって測定するか、その測定方法は正しいのかが問われる。時間と空間(距離)の測定方法は歴史的な変遷がある。時間については、天体の運動(太陽と月、日時計)、機械式時計(砂時計、ぜんまい時計、水晶時計)、原子時計と変わってきた。使い勝手と正確性からの変遷である。これらの時計は手段であり、時間の定義そのものはニュートンの法則を成立させることである。言い換えると次のようになる。「時間と距離の測定方法そのものが時間と空間の定義である。その測定方法は、類似現象との対応である。」代表的な類似現象として等速度運動がある。そしてそれを基準として比較することが時間と空間の定義そのものになる。「時間と空間があって運動の法則が成立するというのではなく、運動の法則を成立させるものが時間と空間である。」と解釈する。
等速度運動は絶対空間と絶対時間のもとではその定義は明白である。しかしそれは現実に存在するのか。我々はどうやって等速度運動を認識するか、これが問題である。自然落下するエレベーターの中での等速度運動は地表面の人から見ると等速度運動ではない。何が絶対的な等速度運動かはわからない。存在するのは、複数の運動の比較だけである。
そうするとニュートンの運動の法則の論理構成は次のようになる。第1法則(運動の法則)は時間と空間の定義と解釈される。基準となる等速度運動と比較することにより別の運動を定量的に把握することができる。同様な考察から第2法則(運動の法則)は力と加速度の定義となる。そして同様に基準となる加速度運動と比較することにより、力と加速度の測定、定量的な把握が可能になる。
重力の定義も次のようになる。球形の地球の上にいる人間が地表を転がる物体(球)を等速度運動と認識し、その運動を時間と空間を測る基準とした場合、すべての物体は一定時間後には地球の中心に近づいて見える。これは重力とみなせる。即ち重力は論理的には、地球表面上で感じられる等速度運動を基準とした場合に生じる現象であり、導き出される結論ということになる。
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